足利義輝の野望

やがて、冬が訪れ、年も変わる頃。
「義輝様、今月は大砲の鋳造に成功しましたので、お納めいたします」
「おお、大砲とな。これは凄い。藤孝!」
「大砲にございまするか。これは良くできておりまするな。大砲隊を編成できますれば、城攻めに大いに役立つことでしょう。
また、カルバリン砲やカノン砲といった家宝を手に入れれば、国崩隊を編成することもできまする。大砲隊の上級兵種で、攻撃が増しまするな。
ちなみに国崩(くにくずし)とは、九州の大友宗麟殿が南蛮人から手に入れた、日本最初の大砲にございまする。」
「大友宗麟——義鎮殿の号だな。もっとも、史実では私が三好長慶に討たれたのちの話であるが」
「1586年にございまする。弟君の足利義昭殿も将軍の座を追われたのちでございまするな。
ちなみに私は細川幽斎と号して、丹後に11万石を領する大名となっておりまする」
「うむ、藤孝は私には過ぎたる切れ者。そなたの子の熊千代はその後、熊本の名君と呼ばれるほどになり、むしろ喜ばしいわ」
「恐悦至極にございまする。義輝様の死後、熊千代は細川忠興と名乗り、熊本に54万石を与えられました」
「……それにしてもカルバリン砲もカノン砲も同じ1等級とな?大航海時代3では倍近い価格、攻撃力の違いがあるぞ」
「義輝様……2を3にしても元ネタが分からない者が多すぎまする」
「冗談じゃ」

「しかし、国友の鉄砲を手に入れたが、私には今ひとつ扱いが分からぬな」
「鉄砲が上手な武将というものがおりまする。やはり『斉射』の特殊能力をもつ武将が指揮するのが一番にございましょう」
「そういえば大航海時代にも測量という……」
「義輝様!しかしまあ、コーエーの作品といえば『信長の野望』『三国志』『三國無双』だけというのも偏りすぎとはいえましょうな。
ちなみに『大航海時代』は文字通りヨーロッパ大航海時代のシミュレーションゲームでございまする。
ロールプレイングの要素も含んでいるあたりが、なかなかとっつきやすい作品でございまするな。
そのほかにも、かつては『ジルオール』などというロールプレイングゲームもございました。
三国志も戦国史も、結論は統一しかないゲームでございまするから、これからの工夫の余地が難しゅうございまする」
「藤孝……話がまったく違う方向へ行っておるぞ」

「新年、おめでとうございまする」
「うむ、畿内一円を手中におさめて、本年より私はこの御所を天下布武の拠点としようと思う」
「それは良いことにございまする。これで本拠地から各地に攻め込むことができまする。各方面、戦いやすくなりましょう。
いまや鉄砲、騎馬などの物資で、他家を大きく上回ってございまする。今こそ覇を唱え、足利将軍家の威光を取り戻しましょうぞ」
「うむ、残る大物は西国の大友であろうな。武田や北条もあるが、日の本の西半分を取れば、もはや趨勢は定まろう」
「中国地方を平定したあかつきには『決戦』を挑みましょうぞ」
「よし、まずは各小大名に交渉し、我が足利の傘下に降るように話をつけてゆこう」